呪文の詠唱と検索ワード

例えば、魔法使いの前に道を塞ぐ大きな氷があるとする。
その手に持った杖を氷に向け、
「火を司る精霊たちよ 我に一時 その力を!ファイア!」
みたいな呪文を詠唱し、魔法で出現した炎で氷を溶かす。


例えば、僕らの目の前に道を塞ぐ大きな氷があるとする。
その手に持ったスマートフォン検索エンジンへアクセスし、
「氷 溶かす 方法」「検索」
まあ氷を溶かす方法なんて普通わかってるので、
「火 付け方 道具無しで」とか。
表示された検索結果に従って火を起こし氷を溶かす。

つまり何が言いたいかというと、呪文を唱えて魔法を使うのと、僕らが毎日のように検索エンジンで検索しているのって、方法やそれを実現するシステムは違えど、同じことをしているのでは?ということ。


知識も豊富で火の精霊と契約を交わせるような熟練した魔法使いは呪文の詠唱をすっ飛ばして魔法を使うことが出来たりするけど、僕らもライターなどを持ち合わせていれば呪文の詠唱(検索ワードの入力)をすっ飛ばして火を起こせる。

たぶん魔法使いは杖が無いと魔法を発動出来ないし、僕らもスマホが無いと氷には手も足も出ない。

「高度な科学技術は魔法と見分けが付かない」って言ってたの誰だっけ。


携帯端末がユーザーのいる環境を解析し、その環境で一番適切な火の起こし方を携帯端末が自動で実践するプログラムが開発されるとする。それが「火 起こし方」という検索ワードの結果として表示され、クリックやタップでそのプログラムを起動できるとしたら。
もう傍目から見たら、魔法と見分けが付かない。
検索ワードを声で入力出来れば、なおそれっぽい。それなら「火スペース付け方!」とか味気無い言葉を言わせるんじゃなくて「炎の精霊たちよ 〜」のような呪文ぽい特定の検索ワードに反応してプログラムが起動するよう設定すればよりいい。

そういう意味では、いずれ絶対使えるようになると思うんだよね。外見がゲームレベルの魔法。
そうなってくると魔法使いの熟練度は、プログラミングや機械設計の熟練度とイコールになるので、僕は魔法使いとしてやっていけなさそうです。